ナイロン100℃。三茶のキャロットタワー内、世田谷パブリックシアターで。

こないだのカラフルメリィがいまひとつで、
こんどダメならもうナイロンは見ない、
と決めていたら、おもしろかった。

上演時間が長いので
夕方の会を見ると、おわったあとにご飯を食べる時間がなくなる。
という意味で、
タクシーを気軽につかえないぼくには、あまりデート向きでない。
べつにデートで行ったわけでもないから、いいんだけど。

もはやいうまでもなく、例によって
日本の近過去と、記憶喪失がテーマで
今回は、タイムパトロールが時代を飛び越えながら活躍する
(というか、彼らは何もできず、
 事態のころがるのを慌てふためきながら眺めるだけなのだけれど)。
さいごは、人類補完計画みたいにして、みんながみんな、記憶を失う。
ほんのり、サビシイ空気のなか、幕が閉じられる。
その人類総記憶喪失計画に、だれかが反対するでもなし。というあたりが
ケラの本音なのだろうか。


◆どんどん大きくなっていく檻のなかに閉じこめられる。という設定が秀逸。
 これもある種の、痴呆のメタファーだろうか。
 宇宙サイズの檻のなかで、人は息苦しさを感じない。
 すべてを忘れるとき、人はおおらかになる。

◆才能のないお笑い芸人が
ファンの男の子にしつこく金をたかる場面のねちねちした感じがよかった。
人はどこまでも貪欲になれる。

◆松永玲子が10代の女の子のように若く見えるのは、
動きの俊敏さと、手足の短いプロポーションのためなのだろうか。
じっさいに何歳なのか知らないけれど、
どう考えても実年齢とは離れた設定を、さして違和感なくこなすことの違和感。

◆「パブリックシアターは初めてなんだ。どんな劇場だろうね」
と、いっしょに行った人にいったら
前もその人と来ていたと指摘される。